2016-01-01から1年間の記事一覧

「道義」

”” 私は本来国体論には正当も異端もなく、国体思想そのものの裡にたえず変革を誘発する契機があって、むしろ国体思想イコール変革の思想だという考え方をするのである。それによって平田流神学から神風連を経て二・二六にいたる精神史的潮流が把握されるので…

「モノリス」

”” 「『魁種族』が地球に放り込んだ『モノリス』に触発された『ヒトザル』は道具を創って獣を倒して喰らい武器を創って反目するヒトザルを殺戮し、その歓喜のあまり放り上げた骨が最新衛星に一変する」 「月に移住した人類はクレーターで『モノリス』を発掘…

「堕落」

”” 人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。 戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるの…

「草の葉」

” 申し分なく産みつけられ、一人の完全な母によって育て上げられ、生まれ故郷の魚の形をしたパウマノクを出発して、多くの国々を遍歴したあと――人の往来はげしい舗装道路を愛するものとして、わたしの都市であるマナハッタのなか、さてはまた南部地方の無樹…

「二重橋」

” 久しぶりに 手を引いて 親子で歩ける うれしさに 小さい頃が 浮かんできますよ おっ母さん ここが ここが二重橋 記念の写真を撮りましょうね やさしかった兄さんが 田舎の話を聞きたいと 桜の下で さぞかし待つだろ おっ母さん あれが あれが九段坂 逢った…

「The October」

「野球の好きな少年」は生地キューバの岸辺から母親を乗せた小さなボートを漕ぎ出した。 彼は横波を受けたボートから落ちた母親の身体を抱え揚げしながらようようにしてアメリカはフロリダの地に着岸した。 その地で彼はぐんぐん大きくなった。 彼はやがてメ…

「生前退位」

「主観と客観との間には一種の十全な関係が生ずるとか、客観とは内からみれば主観であるにちがいない何ものかであるとかということは、思うに、かつてはもてはやされた時代もあったが、一つのお人好しの捏造である。」 「 現象に立ちどまって『あるのはただ…

「執行」

「アイヒマンは、一貫してユダヤ人殺害への関与を否定、ユダヤ人の絶滅に『協力し幇助したこと』だけだと主張、あくまで合法な命令に従っただけだと主張した」 「ユダヤ人の絶滅について、ユダヤ人自身から、単なる従順以上のもの、協力を得ていたのも事実で…

「天皇」

三島「天皇問題では、つまりいまは顕教と密教とが逆になっちゃった。顕教というのは、天皇が人間であり、象徴である。密教がいま学校では教えていないんだけど、現人神信仰というのが残っているのが密教だよ。」福田「ただ、僕にとって問題なのはエゴイズム…

「無明」

「人には無明という、醜悪にして恐るべき一面がある。・・・人は自己中心的に知情意し、感覚し、行為する。その自己中心的な広い意味の行為をしようとする本能を無明という。」 「人は無明を押えさえすれば、やっていることが面白くなってくると言うことがで…

「家庭の幸福」

「所謂『官僚の悪』の地軸は何か、所謂『官僚的』という気風の風洞は何か。私は、それをたどって行き、家庭のエゴイズム、とでもいうべき陰鬱な観念に突き当たり、そうして、とうとう、次のような、おそろしい結論を得たのである。」 「曰く、家庭の幸福は諸…

「権威」

「権威は必ず服従を伴い、つねに服従を要求する。にもかかわらず、それは強制や説得とは相容れない。なぜなら、強制と説得はともに権威を無用にするからである。世界史におけるこの特異な時代状況のもとで、権威は他と明確に区別された独自のものとなる。(…