2018-01-01から1年間の記事一覧

「曾皙」

”” 儒と呼ばれる聖人の道は、「天下ヲ治メ民ヲ安ンズルノ道」であって、「私カニ自ラ楽シムニ有ル」所以のものではない。 ・・・ 孔子は、道を行うのに失敗した人である。 晩年、その不可なるを知り、六経を修めて、これを後世に伝えんとした人である。 ・・…

ジャズ⑤

このごろは酔いがまわるとストンと寝落ちする。 いい気分で飲み始めるとなお早い。 さきほどから、いい気分で飲み始めている、 それにもうベッドに潜り込んでいる、 なのに、きょうはなかなかそういかない。 また、さっきのアレか。 「半音はずし」は ”Flung…

「相対」

先の大戦が終わって70年あまり、近代は、「共同幻想」の「相対」とその「限界」を悟りつつあり、なおの焦慮を強めている。 人は、それぞれ自己の個人幻想を紡ぎ出す。 近代の個人幻想は、その人のさまざまな感覚と感情を幾重にも織り成した生地から産み出…

ジャズ④

さっきから気になっていた。 チック・コリアの「スペイン」をやりはじめてインプロに入ったときあたりから、ときおり、トン、トン、と小さな音が聞こえてきて、気になっていた。 「スペイン」を弾き終わったところで、まばらな拍手に応えるふうにしてそれと…

「永遠」

”” また見つかった、 何が、永遠が、 海と溶け合う太陽が。 独り居の夜も 燃える日も 心に掛けぬお前の祈念を、 永遠の俺の心よ、かたく守れ。 人間どもの同意から 月並みな世の楽しみから お前は、そんなら手を切って、 飛んで行くんだ・・・。 ・・・もと…

ジャズ③

さきほど仕事を決めに出かけたとき、アタリは付けておいた。 途中、あ、ココだな、って風情の路地があるのを見逃してなかった。 それにしてもいったい、知らない街を歩き始めるとあの「遠くへいきたい」が聞こえてくるのは、どういうことか。 どうして知らな…

ジャズ②

ホテルでは、部屋に帰ると、着ていたものを一気に脱ぎ捨て、バルブ全開のシャワーをしたたかに浴びて、缶ビールをプシュ、ごくん、プアー、ってコースを鉄板のルーティンとしている。 この極めつけのコースは、缶ビールがキンキンに冷えてるとサイコー、とな…

ジャズ

裏口のアルミドアのノブがすんなりと回ったためしがなかった。 これもだ。 もういちど手指に力をこめて回すとギッと呻いて開いた。 ーなにか用か ーピアノだ、聞いてなかったか ーああ、お前か、あっちだ 外はまだ昼下がりというのに、指差された奥の部屋は…

「ディオニュソス」

”” 「ディオニュソスはアジアから来た。この狂乱と淫蕩と生肉啖らいと殺人をもたらす宗教は、正に「魂」の必須な問題としてアジアから来たのである。理性の澄明をゆるさず、人間も神々も堅固な美しい形態の裡にとどまることをゆるさないこの狂熱が、あれほど…